印鑑の知識 by 上野印房手彫り印鑑職人上野雄一のブログ

署名(記名) と 捺印(押印)

ハンコを押すのに何か決まりはあるのでしょうか。
押印とは切っても切り離せない署名・記名とあわせて見てみましょう。

※当方は法律の専門家ではありませんので、もし間違いなどございましたら、ご指摘ください。

正しい押印の仕方

「署名(記名)に印影を重ねて押すのかどうか」
押印の位置について法律での規定はなく、どちらも間違いではないようです。
そのため、慣例的な決まりが様々出来ているので、常識を外れた位置でなければ、自社や取引相手の慣例に合わせるのが一番だと思います。
どちらがよいかと言えば、万が一筆跡や印鑑の鑑定となった場合、重ねて押すと、印影や筆跡が読みづらくなりますので、重ねず署名(記名)のすぐ近く(縦書きはすぐ下、横書きはすぐ右)に捺すほうが好ましいと思います。

署名に重ねず捺印 署名に重ねて捺印
どちらも間違いではありませんが、重ねない方が鑑定は容易。

「法人印の押印」
法人印の押印位置についても法律での規定はありませんが、
慣例的には、角印を記名に重ねて、代表印を重ねずに捺すと指導されることが多いようです。
低額の領収証などは角印だけで済ませることも多いです。

「どうやったら綺麗にハンコを押せるのか」
やはり印影が判別しにくい状態では、やはりトラブルになりかねません。
第1に朱肉の付け方です。
かすれているのはいけませんが、朱肉の付けすぎもまた不鮮明になります。たくさんつけるのではなく、まんべんなくつけるのが理想的です。ポンポンと軽く何回かつけるようにして、印面にまんべんなくついているか実際に見て確認するといいでしょう。
第2に硬い場所で押さないことです。
硬い場所では鮮明な印影は得られませんし、ハンコそのものを傷つけてしまう恐れもあります。
捺印マットがあればベストですが、ない場合は下にノートやメモ帳などを敷いて押すといいでしょう。
第3に押し方です。
押した時にすぐ紙から放すのではなく、ハンコが動かない程度に軽く「の」の字を書くようにして下さい。

もし綺麗に押せなかった場合には、二本線で失敗した印影を消し、隣にもう一度綺麗に押し直しましょう。
印影が薄かったからといって、もう一度その上に重ねて押してはいけません。

押印と捺印は違うの?

ハンコを押すことを「押印」または「捺印」と言いますが、この二つの呼び方に違いはあるのでしょうか。
調べてみたところ、二つの説に行き当たりました。

一つの説は、「署名」に対しては「捺印」、「記名」には「押印」を使う、というものです。しかし、なぜそのように使い分けるようになったのか、「署名押印」「記名捺印」という表現は日本語として間違っているのか、私が調べた限りでは定かなことは分かりませんでした。

もう一つは、日常的には「捺印」と使うことが多く、法律上は「押印」と使う場合が多い、という説です。その根拠は、昔から「捺印」と使われていたのが、当用漢字が制定された当初「捺」が当用漢字に入らなかったため、公文書では「押印」を使うようになり、日常では「捺印」が残った、というものです。

しかし、辞書を引くと、共に「印を押すこと」とあり、違いは見受けられません。
調べてみた限り、個人的な見解では、どちらを使っても間違いにはならない気はしますが、詳しくご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひともご一報いただきたいと思います。


署名と記名

署名と記名の違いですが、これは明確な違いがあります。

署名とは、本人自身が手書きで自分の氏名を書くことで、いわゆるサインのことです。

記名とは、署名以外の方法(ゴム印・印刷・他人による記載など)で自分の氏名を記載することです。
手間は省けますが、本人の直筆ではないので、他人が無断で記名する危険性があります。
法律は記名だけでは署名の代用としての効力を認めていません。
記名の末尾にその人の印が押してある場合に限り、署名と同じ物として取り扱うことが出来ます。

■証拠力が高いのは?
署名と記名押印は法律上の効力は同じです。
しかし、証拠力という点においては、一般的には署名のほうが文書の信用力は勝っていると言えます。
署名捺印となれば、さらに証拠力は増します。
ただし、記名だけでは署名の代用としての効力は認められていません。

署名捺印 署名捺印

自筆(サイン)と押印。
証拠力では一番勝っています。

署名 署名

自筆(サイン)。
確かな証拠力になります。

記名押印 記名押印

記名と押印。
署名と同じ効力がありますが、証拠力では署名に劣ります。

記名 記名

ゴム印、印刷、代筆など自筆以外の方法。
署名の代用にはなりません。


※印鑑の知識の文章は上野印房店主の上野雄一が書きました。
法律の専門家ではありませんので、詳しくは印鑑に関する書籍などを参考にしてください。

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